さまざまな治療例

右の首と背中が痛く、腕に力が入らない40代女性の治療例(2021年10月)

症状の確認

2ヶ月くらい前から、右の首から背中にかけて痛みがあります。あと、手を使った作業をするときに、右腕に痛みと力が入りにくい感じがします。

他に、なにか症状はありますか?

数年前から、長時間歩くと右足の付け根が強く痛むことがあります。

病院や他の治療院は受診されましたか?

整形外科を受診して、首の脊柱管狭窄症と言われました。手術をするほどではないので、リハビリに通うように言われています。

姿勢の確認

まず、立ち姿を撮影して、一緒に姿勢を確認してみましょう。

1番気になるのは、頭の位置が背骨のラインよりも前に出ていることです。

これでは背骨で頭を支えることができないので、
首の後ろ側や肩甲骨周りの筋肉の頑張りにより頭の重みを支えています。

また、歯を食いしばりながら下顎を前に突き出すような姿勢なので、
顎周り・首の前側と横側の筋肉に力が入っているように見えます。

はい。奥歯を食いしばる癖があるようです。

肩が「巻き肩(肩関節が内側にねじれる)」なのも気になります。

自分でも肩が丸まって、「猫背」になることが気になっています。

重心の位置が踵側(後ろ側)になっているので、骨盤の位置が踵側に引けています。

同時に、後ろに倒れないようにバランスを取るために、
骨盤が前傾(おへそが下向き)なっているため、
鼠蹊部(太ももの付け根)が詰まってしまい、脚が上がりづらくなっているのでしょう。

ご自身では、姿勢について気をつけていることはありますか?

ついつい「猫背」になってしまうので、背すじを伸ばすように意識しています。

そうですね。
「骨盤の位置」「巻き肩」「頭の位置」から見ると「猫背」になっているはずですが、
肩甲骨から腰にかけての筋肉に頑張ってもらい、
無理やり背すじを伸ばしている印象があります。

治療

まず、ベッドの上で仰向けに寝てみましょう。

肩が内巻きになっているため、肩甲骨がベッドから浮いているのはわかりますか?

はい。肩甲骨をベッドにつけようと思っても、背中の筋肉が攣りそうでできません。

腰もベッドから浮いていて、隙間があります。
股関節前面の筋肉が硬くなって、骨盤が前傾しているからです。

「肩関節」「肩甲骨周囲」「股関節周囲」「足関節」を中心に指圧マッサージをして、頚椎周囲には鍼をしましょう。

わかりました。よろしくお願いします。

治療後の状態

60分かけて治療を行いました。
   いかがでしょうか?

首から背中・腕の痛みが軽くなり、右手にも力が入ります。
   喘息持ちなのですが、治療中から前方向に巻いていた肩と胸が自然に広がり、呼吸がいつもより楽になっています。

写真を撮ってみましょう

「骨盤」と「頭」の位置が改善されて、頭の重さを背骨で支えることができています。
これにより首肩の緊張が緩み、肩の位置が下がっています。
首肩の緊張が緩んだことで、胸郭が動くようになり、呼吸がしやすくなったようですね。

帰宅後 

・施術後に長時間歩いたり階段昇降しても右足付け根に痛みが出なかった。
・施術後しばらくして血圧を測ったところ、長期間痛みが続いていたにもかかわらず血圧が上がっていなかった。
・普段治療を受けると「もみ返し」が起こりやすいが、翌日も痛みなく、いつもより目覚めが良かった。

今後について

今回は、60分のコンディショニング(鍼灸併用)コースで施術を行いました。
自覚症状がかなり改善された様ですが、
「肩甲骨周囲」「股関節周囲」の筋肉がかなり硬くなっているので、
週に1回のペースで計5回ほど、治療を継続することをお勧めします。

また、股関節がうまく使えないことで膝関節の負担が大きくなっています。
指圧マッサージ・鍼灸での施術のあとに、股関節がうまく使えるようになる運動指導を並行して行うことができれば、より効果を継続できるようになると思います。

こちらの患者様には「90分のコンディショニングコース」の中で、
運動指導を併用することをオススメいたします。